トップアスリートから学ぶ(サッカー:クリスティアーノ・ロナウド選手)

世界中で知られるポルトガル出身のサッカー選手、クリスティアーノ・ロナウド選手。彼は、プレーはもちろんのこと、ストイックな自己管理とトレーニングの姿勢にも多くの注目が集まっています。長年にわたり世界の第一線で活躍し続ける背景には、技術や才能だけでなく、日々の習慣と努力の積み重ねがあります。ロナウド選手の姿勢には、テコンドーを学ぶ私たちにも大いに学ぶ点があるのではないでしょうか。 トレーニング ― いつでも、どこでも、限界まで ・若い頃から筋力トレーニングを日課にし、ジムに行かなくても体を鍛える方法を実践。・「トレーニングメニューを全てこなしてから寝る」ことを大原則とし、徹底した自己規律を守ってきました。・トレーニングの場はジムだけに限らず、「どこでも練習場」という意識を持ち、機会を逃さず鍛え続けています。 食事管理 ― 食べることも、トレーニングの一部 ・筋肉の維持・回復のため、高タンパク・低脂肪の食事を基本とし、野菜も好んで摂取。・一日に4〜6回、少量ずつこまめに食べることで代謝を高めています。・砂糖の入った料理や清涼飲料水など、代謝を低下させる飲食物を避けています。・試合会場でのコーラボトル排除のエピソード(※)は有名で、スポンサーに遠慮せず健康を最優先する姿勢が話題となりました。※2021年、試合前の記者会見で、ロナウド選手は目の前に置かれたコカ・コーラのボトル2本を横に移動させ、代わりに水を飲むようアピールしました。コカ・コーラが大会スポンサーであったことから、多くのメディアで取り上げられました。 睡眠と回復 ― 身体を休めることも「強さ」 ・睡眠は1日8時間以上を確保。・練習後は温水と冷水の交代浴や、プール、サウナでのリラックスを大切にし、心身のバランスを整えています。・コンディショニングにもこだわり、「110%で走れる身体」を目指すことを信念としています。 メンタル ― 継続する意志に、強さが宿る ロナウド選手は次のように語っています。「僕たちは皆人間だ。もちろん、毎日ジムに行くのが好きなわけじゃない。でも、それでもやらなければならない。その“やらなければならない”瞬間こそが、僕たちの心を強くするんだ。」 この言葉には、日々の稽古や型の練習、繰り返しの基本動作に取り組む私たちにも共通するものがあります。一人で黙々と取り組む打撃系武道の特性上、「継続力」と「自己規律」が強さの基盤となります。テコンドーにおいても、シャドー、型、サンドバッグ練習など、地道な積み重ねこそが成果を生むのです。 テコンドーに生かす「ロナウド流」 組み技主体の柔道やレスリングなどは、主に相手との駆け引きを通じて上達します。一方、テコンドーをはじめとする打撃系武道では、一人で行う稽古こそが上達のカギです。だからこそ、ロナウド選手のような「自分に厳しく向き合い続ける姿勢」は、テコンドーの稽古においても重要な学びになります。 まとめ:努力を「習慣」に変える トップアスリートに共通するのは、才能ではなく「習慣化された努力」です。クリスティアーノ・ロナウド選手のように、自己管理を徹底し、自分との約束を守り抜く姿勢は、テコンドーを学ぶうえでも非常に大切なヒントを与えてくれます。どんな日も、自分の課題と向き合い、ベストを尽くす。そんな日々の積み重ねが、やがて大きな力になります。私たちもまた、毎日の稽古や生活習慣の中で、コツコツと自分を鍛えていきましょう。

ITFテコンドーの歴史

現在、テコンドーには、大きく分けて「国際テコンドー連盟(ITF)」と「ワールドテコンドー(WT)」の2つの国際組織があります。 いずれも、1955年に韓国の崔泓熙(チェ・ホンヒ)総裁が命名したテコンドーを起源としていますが、それぞれの国際組織が設立され、2つの系統に分かれて発展していくことになりました。今回は、TKD-SORA(押上テコンドークラブ / テコンドー押上道場 )が教えるITFテコンドーについて、歴史を紹介します。ITFとWTに関する記事は こちら! テコンドー誕生までの歴史 生まれつき身体が虚弱だった崔泓熙氏は、15歳の時に書道の先生の勧めで、テッキョン(韓国の伝統武芸)を習いました。また、日本留学中には空手を習得しました。1946年に韓国陸軍の少尉に任官すると、肉体と精神の訓練のため、兵士たちに空手を教え始めました。そこで、日本の空手ではなく、精神的にも技術的にもより優れた韓国独自の民族武術を開発する必要性を感じ、約9年をかけて新しい武道の研究を重ね、1955年にテコンドーを創設しました。この頃に型(トゥル)も作られ始めており、初めて考案されたファラン、続いてチュンム、ウルチが1955年から1956年に開発されました。テコンドーは、崔泓熙総裁に知識のあったテッキョンや空手の影響を受けていますが、その技術は現代科学に基づいて開発・体系化されており、精神は東洋の伝統的な倫理・道徳や、崔泓熙総裁自身の哲学が反映された独自の武道です。テコンドーの基本的な理論や原理は世界のどの武術ともまったく異なるものです。また、テコンドーは礼儀や謙虚さなどの精神性を重んじ、自衛や正義のためにのみ使用される武道です。 ITF発足までの歴史 1959年、テコンドーは国境を越えて広がりました。崔泓熙総裁と黒帯保持者19 人が極東を巡回し、演武会を行いました。テコンドーの卓越した技術に観客は驚き、大成功を収めました。 同年、崔泓熙総裁は大韓テコンドー協会を創設し、会長に就任しました。1965年、韓国政府の命により、崔泓熙総裁が使節団長を務める「国技テコンドー親善使節団」は、西ドイツ、イタリア、トルコ、エジプト、マレーシア、シンガポールへ遠征しました。演武会は大成功し、結果的に遠征した国々でテコンドー協会が創設されることになりました。この遠征は、現在の国際テコンドー連盟(ITF)設立の基礎ともなりました。1966 年、ベトナム、マレーシア、シンガポール、西ドイツ、米国、トルコ、イタリア、エジプト、韓国の承認を得て、韓国のソウルでITFが設立されました。 その後のITFの歩み 1966年創設当時に韓国のソウルにあったITF本部は、1972年、政治的な理由でカナダのトロントへ移転されました。その後、1985年、東側諸国でのテコンドー普及のためオーストリアのウィーンに移転され、現在に至ります。創設時に9か国だったITFは急速に大きくなり、2年後には加盟国が30か国となりました。日本では、1983年に、世界で76番目の協会となる日本国際テコンドー協会(ITF-JAPAN)が発足しました。1969年には、初めての国際大会となる第一回アジアテコンドー選手権大会が香港で、1974年には、第一回世界テコンドー選手権大会がカナダのモントリオールで開催されました。いずれの国際大会も今日まで続いており、2025年1月現在、アジア大会は第10回、世界大会は第22回までになっています。現在、ITF加盟国は133か国にもなります。世界中に普及することができた要因の一つとして、1983年に刊行された「テコンドー百科事典」があります。技術、力の理論、訓練カリキュラム等が体系化されたもので、世界各国の指導者がITFテコンドーの技術を伝えるための1つの基準となっており、世界中の稽古生が統一されたテコンドーを学ぶことができます。テコンドー百科事典に関する記事はこちら!このようにして、現在、テコンドーは世界中の老若男女に親しまれているのです。 【ITFの歴史 年表】・1955年4月11日 崔泓熙将軍がテコンドーを紹介する。・1966年3月22日 国際テコンドー連盟(ITF)が韓国のソウルで発足。設立メンバーには、ベトナム、マレーシア、シンガポール、西ドイツ、米国、トルコ、イタリア、エジプト、韓国の各国協会が名を連ねた。・1972年1月 ITF本部をカナダのトロントに移転。崔泓熙総裁は、当時の韓国大統領および軍事独裁政権との政治的不和や、テコンドーの全世界への普及促進を理由に、カナダに亡命。・1983年 「テコンドー百科事典」刊行・1985年 東側諸国におけるテコンドーの普及を支援するために、ITF本部がオーストリアのウィーンに移転。・2002年6月15日 テコンドー創始者・初代ITF総裁の崔泓熙氏が死去。・2002年9月22日 国際オリンピック委員会(IOC)委員の張雄(チャン・ウン)氏が第2代ITF総裁に選出される。・2015年8月26日 李勇鮮(リ・ヨンソン)氏が第3代ITF総裁に選出される。 ITFテコンドーは、崔泓熙総裁の経験や強い正義感などから作られた、技術的にも精神的にも非常に優れた武道であることが分かります。急速に世界に普及し、現在も世界中のたくさんの人々に親しまれていることからも、人々を魅了する素晴らしい武道であると言えるでしょう。稽古生は、自身が習っているテコンドーに誇りと自信を持ちましょう。また、テコンドーの本質を理解し、創始者の想いに適った正しいテコンドーを実践するためにも、創設の背景や歴史を知ることは大切です。これらの知識を持ったうえで、テコンドーの名に恥じない修練や日頃の行動を心掛けましょう。

試割板について

先日、山上先生が稽古で使用する板を買いに、初めて試割板専門店である 株式会社杉戸銘木店さんに行ってきました。 テコンドーというと「トゥル(型)」や「マッソギ(組手)」を思い浮かべる方も多いかと思いますが、テコンドーの競技には「パワーブレイキング(威力)」や「スペシャルテクニック(特技)」もあります。 パワーブレイキングは技の威力を割った板の枚数で競う競技で、スペシャルテクニックは、指定された跳び蹴りによる板割りによって、その高さまたは距離を競う競技です。 パワーブレイキングやスペシャルテクニックでは、試割板(しわりいた)が必要となります。 試割とは、自身の技の威力を試すために物を割るという意味合いがあり、競技や演武の本番で使う板も「試割板」と呼びます。 今まで、板ひとつにそれほど大きな違いがあると思っていなかったのですが、埼玉県杉戸町にある杉戸銘木店さんを訪れたところ、プロの木材屋さんであり空手の指導者もされている塩野谷先生からお話を伺い、専門店としての配慮の細やかさに感銘を受けたそうですので、ご紹介します。 試割板の正しい向き 試割板にも表裏や上下があります【見分け方】表裏:年輪の外側が表、内側が裏側です。上下:元(木の根元側)を上、末(梢側)を下にするのが正しい持ち方です。木目の幅が広がっている方が元、細くなっている方が末です。 武道は礼儀作法を重んじますので、表裏・上下などの細やかな形式にも気を配ります。杉戸銘木店さんの試割板には、社名の焼印が押してあり、表裏・上下がすぐに判断できるようになっています。木表に焼印があるため、板を持つ人は焼き印を板を割る人の方に向けて持つだけでよく、もたつくことなく演武の進行等をスムーズに行うことができます。正しい向きが分かりやすいよう焼き印がある試割板を、山上先生は初めて見たそうです。空手の指導者もされている塩野谷先生ならではの、きめ細やかな心遣いですね。稽古生の皆さんも、試割り板の向きや道着の着用の仕方など、細かな作法に気を配るようにしましょう。 板の種類 杉戸銘木店さんの店頭では、以下のサイズの試割版を取り扱っていました。もっと厚い板の受注生産もしているそうです!【30cm×約23cm】※仕様は目安です・30mm(1寸板):超上級者用・24mm(8分板):上級者用(黒帯有段者)・21mm(7分板):上級者用(黒帯有段者)・18mm(6分板):上級者・中級者用(黒帯有段者)・15mm(5分板):上級者・中級者用・12mm(4分板):初級者(小学生・有級者・女性)・未経験者【30cm×約22cm】・9mm(3分板):初級者(小学生低学年・女性)・未経験者・7mm(2分3厘板):初級者(幼稚園、小学生低学年、女性)・未経験者 こんなに豊富な種類を取り扱っているのも、専門店の魅力ですね!今回は21mm(7分板)、18mm(6分板)の板を購入しましたが、今後は稽古生の状況に応じて、他の種類も検討したいです。これだけの種類があると、稽古生の皆さんも次の目標を立てやすく、自身のステップアップも実感できますね。山上先生も、30mm(1寸板:超上級者用)や、それ以上の厚さの板を割れる稽古生が育つことを楽しみにしています!

テコンドーで怪我を防ぐために

スポーツに怪我は付き物ですが、個々のスポーツに起きやすい怪我を把握し、対策することで、怪我の発生リスクを抑えることができます。テコンドーは、動作の正確性・力強さ・スピード・バランスなど多様な要素が高いレベルで求められることや、組手はライトコンタクト(打撃によるダメージの度合いではなく、技の正確性により得点するルール)であること、蹴り技や上段への攻撃のポイントが高いなどの特徴から、起こりやすい怪我にも特徴があります。稽古中や試合の際に怪我をしない・させないために、予防のための対策やルール・マナーの遵守を徹底しましょう。 ■テコンドーに多い怪我 Jacinta Jonesの論文「Common Taekwon Do Injuries and Potential Preventative Measures」よると、ある研究では、テコンドーにおける怪我は、多い順に、以下のとおりとなっています。・怪我の部位:①下肢(特に足や足首)、②上肢、③頭部または頚部、④体幹・怪我の種類:①打撲傷、②骨折、③脳震盪、④捻挫、⑤裂傷・怪我の発生した状況:①他の競技者との接触によるもの、②非接触によるもの、③オーバーユース(使いすぎ)また、テコンドーに限らず、どのようなスポーツでも、疲労していると怪我のリスクは大きく高まります。 上記を踏まえ、テコンドーで怪我を防ぐために重要なポイントを、以下の項目でご紹介します。 ■日頃のコンディショニング 組手での接触、体勢の変更、反復的な動作などに耐えられる身体を作るため、日頃から身体の基礎能力を高めたり、身体ケアをすることはとても重要です。稽古や自主トレーニングによって、関節や腱・筋肉を強化したり、日頃からストレッチやマッサージ、アイシングなどで身体のケアをしておくようにしましょう。テコンドーで負傷の多い下肢に特化した様々な神経筋トレーニングを行うことも効果的です。足関節、膝関節、股関節の安定性が向上し、負傷の可能性が低くなります。また、十分なウォーミングアップや体調に合わせて稽古することも大切です。 ■身の守り方の習得 テコンドーでは接触による怪我が多くなっており、身の守り方を習得することは、怪我を防ぐうえで欠かせません。テコンドーを含め、武道の基本はまず守りを覚えることからです。相手の動きを追う目を養うことや身のこなしを適切に学ぶことで、多くの怪我は防ぐことができます。テコンドーはもともと護身術として発達した競技であり、押上テコンドークラブでも身の守り方は主要な稽古内容の1つです。指導をよく聞き、実践でしっかり使いこなせるようにしましょう。 ■適切な防具の着用 同じく接触による怪我を防ぐために非常に重要なのは、組手における防具(グローブ、フットプロテクター、マウスピース等)の着用です。テコンドーで多い怪我や重篤な怪我を防ぐために作られており、怪我のリスク軽減のために、防具に関する規定の変更も行われてきています。試合の際は規定どおりに着用し、稽古の際も先生の指示を必ず守るようにしましょう。 ■組手の練習時の注意点 特に組手の稽古では、常に集中力を切らさないことが怪我をしないことに繋がります。また先生や先輩の指示に従うことが大切です。組手を実戦形式で行うスパーリングは、押上テコンドークラブでは以下の種類に分けています。それぞれの目的に合わせて技のスピードやパワーのコントロール、距離感とタイミングを調整することで、怪我を防止します。 ・マススパーリング:相手に攻撃を触れさせない練習方法で、相手をよく見て距離感とタイミングを学ぶための練習です。自分の攻撃は相手に当てないようにしましょう。・ライトスパーリング:名前のとおり攻撃を軽く当てるのみで、ダメージが無いようパワーをコントロールする練習です。距離感とタイミングに加え、コントロールを覚えましょう。自分にとっての「軽い」攻撃ではなく、相手にとっての「軽い」攻撃であることに注意をしてください。相手にとって軽くなければ、怪我の原因になります。・スパーリング:スピードとインパクトのある攻撃を行う練習方法で、相手のプレッシャーを感じながら攻防を楽しみます。必ず防具を付けて行ってください。 ■跳び蹴りや跳躍時の着地 怪我は組手の稽古以外でも起こり得うるものです。テコンドーでは跳び蹴りや跳躍を伴う動作も練習します。その中で多いのは、跳躍から着地する時の足首・膝の捻挫や靱帯損傷です。日頃からジャンプトレーニングによって着地時の衝撃に慣れておくことに加え、衝撃を緩和する正しい着地を習得する必要があります。 ■転倒 組手やミット打ちの稽古の中で転倒し、床や壁などに衝突することにより怪我をしてしまうこともあります。特に頭部から転倒した場合は脳震盪などの可能性があります。転倒しないためにバランス能力を養うことや、万が一転倒した時には大切な部分を守れるよう顎を引き安全に転ぶことも大切です。いずれも稽古で教わりますので、しっかりと身に付けてください。 テコンドーにおける怪我のリスクは、性別や年代によっても変わってきますが、今回ご紹介した内容は、基本的に誰にとっても効果的であり、稽古生全員に守っていただきたいこととなります。特に大きな怪我は回復に時間がかかり、その間に稽古ができなかったり試合に出場できないのはもちろんのこと、日常生活にも支障をきたします。また、小さな怪我でもクセになることがありますので、さらに怪我のリスクが高まります。自分も相手も怪我をしない・させないことを意識し、道場全体で守っていきましょう。

テコンドーに必要なものとあると便利なもの

テコンドーでは身体を武器のように鍛え、身一つで自分を護るため鍛錬をします。ボール、ラケットのような特別な道具がなくても、自分の身一つで練習ができる手軽さがあります。とはいえ、テコンドーにも必要なものや、あると便利なものがあります。今回ご紹介しますので、必要なものは揃えたり、便利なものは自分にもあったほうが良いか検討したりしてみてください。 必要なもの 道着と帯は、毎回の稽古で必要となりますので、入門時にご購入いただきます。防具、マウスガード、ファールカップは、黄帯になったら必要となります(ファールカップは男性のみ)。フェイスガード、ボディプロテクター(女性のみ)は、大会に出場する際に必要となります。それぞれ、必要なタイミングで購入しましょう。 ○ 入門時に必要なもの ○ 黄帯になったら必要なもの 防具: マウスガード: フェイスガードを着用する場合は任意になりますが、安全のため用意するようにしましょう。安価なものから高級なものまでかなり幅広く選ぶことが出来ます。 ファールカップ: 日頃の稽古でも男性は必要となります。 ○ 競技大会出場時に必要なもの フェイスガード: 有級者が大会の組手競技に出場するためには必要になります。 ボディプロテクター: 成年女子や少年部の稽古や大会の組手競技で着用します。 あると便利なもの 以上、テコンドーに必要なものとあると便利なものをご説明しました。必要なものは、事前に把握しておけば慌てないで済みます。あると便利なものは、稽古を重ねる中でほしいと感じたら、購入を検討してみてください。ものを揃えるのは初めは大変ですが、徐々にテコンドーグッズが集まると、うれしい気持ちにもなりますね。好みのデザインのもので気分を上げたり、長く使って愛着を持つようになったりと、是非テコンドーを楽しむ一助としてください!

テコンドー百科事典

テコンドーは、1955年に韓国で正式に誕生してから、過去数十年にわたって急速に発展しました。現在では、ITFテコンドーは128 の加盟国に 約5,000 万人の修練生を擁する巨大な国際組織に拡大しています。テコンドーがこれほど多くの人に親しまれ、世界中に普及していった要因の一つとして、創設者である崔泓熙(チェ・ホンヒ)総裁が残した統一されたテキストの存在が挙げられます。 崔泓熙総裁は、以下等の出版物を残しています。Human Weapon Magazine (1st Taekwon‑Do Magazine), 1969Taekwon‑Do (6 Editions & 2 Reprints 1972–1986), 1972Encyclopedia of Taekwon‑Do: 15 Volume Set (5 Editions 1985–2008),1983Condensed Encyclopedia (6 Editions 1988–1986), 1988Taekwon‑Do and I: 3 Volume Set, 2000Moral Guide Book, 2000 上記のうち、「テコンドー百科事典」 (Encyclopedia of Taekwon-Do) は、技術、力の理論、訓練カリキュラム等が体系化されたものです。全15巻から成り、1983年に刊行されました。1999年の第5版まで崔泓熙が関わる形で改訂が行われ、1988年には要約版百科事典(Condensed Encyclopedia) も刊行されました。この百科事典は、テコンドーの定義、歴史、哲学、力の理論、立ち方、攻撃部位、受けの部位、急所、手技、足技、24の型の解説、稽古方法等が、包括的な説明と詳細な写真によって記されています。 テコンドー百科事典により、世界中の指導者や稽古生が統一されたテコンドーを学ぶことが可能となりました。現在も、世界各国の指導者にとってITFテコンドーの技術を伝えるための1つの基準となっています。崔泓熙総裁が亡くなった今でも、創設者の想いやテコンドーの原点に立ち返ることができる、指導者にとってまさに「バイブル」のような存在です。 時代や場所が変わっても、創設当時のテコンドーの精神や技術を受け継ぎ、広めることができるのは、崔泓熙総裁が書籍という形で知識を残し、それを指導者たちが分かりやすく稽古生に教えているからです。TKD-SORA(押上テコンドークラブ / テコンドー押上道場 )でも、「テコンドー百科事典」に基づいた指導をしています。年代や国を超えて、テコンドーを通じて共通の精神や技術を分かち合っていることを、感じてみてください。

テコンドーの「力の理論」

人は普段、自身の潜在能力の10%~20%しか使っていません。しかし、100%発揮できるように訓練すれば、体格、年齢、性別に関係なく、誰でも破壊的な技を繰り出せるようになります。今回は、崔 泓熙 (チェ・ホンヒ)総裁の「THEORY OF POWER」より、身体にある潜在能力を最大限引き出すテコンドーの技の「力の理論」の概要をご紹介します。 テコンドーの稽古では、力の理論に則った反動力、集中、均衡、呼吸のコントロール、速度を突き詰める訓練をします。 これにより、潜在能力を効果的に発揮できるようになります。 反動力 テコンドーの技は、すべての力はその力と等しい反対の力を持つという、ニュートンの「作用・反作用の法則」を利用しています。相手から受ける反動力、自分自身が生み出す反動力の2種類があります。 集中 ・打撃を最小の対象領域に集中させると、その効果は大きくなります。テコンドーの多くの技は、開いた掌の端や指の関節等、相手と接する面積が小さな部位に力を集中させます。・攻撃の際、動作のはじめにすべての力を出し切るのではなく、相手と接触する瞬間に力を集中させるというように、集中する時間が短ければ短いほど、打撃の威力が大きくなります。・力を集中させる方法は、まず、全身の筋肉、特に股関節や腹部周辺の筋肉の力を、適切なタイミングで攻撃に使用する部位に集中させます。そして、そのようにして力を結集させた筋肉を相手の急所に集中させます。 均衡 常に身体の均衡に保つこと、つまりバランスが取れていることで、打撃はより効果的で致命的なものとなります。・均衡は、動的安定性と静的安定性に分けられます。動的安定性の過程の中で静的安定性が維持されることで、最大の威力が生まれます。・立ち方や姿勢の重心は、両足に均等に体重がかかる場合は両足の中間の直線上に、片足に偏る場合はその足の中心に置きます。柔軟性と膝のバネも重要で、素早く攻撃したり、瞬時に体勢を立て直したりする際に役立ちます。・衝撃の瞬間に、後ろ足のかかとが地面から離れてはなりません。バランスをとるためだけでなく、最大限の力を生じさせるためにも必要です。 呼吸のコントロール 呼吸をコントロールすることは、持久力やスピードに影響するだけでなく、防御態勢を整え、攻撃の威力を増強させることができます。・相手の攻撃が当たった瞬間に息を吐いた状態で呼吸を止めることで、意識の喪失を防ぎ、痛みを抑えることができます。自分の打撃の瞬間に鋭く息を吐き、動作の実行中に息を止めることで、腹筋を緊張させ、動作に最大限集中することができます。ゆっくりと息を吸い込むことは、後に続く動作の準備に役立ちます。・攻撃や防御に集中している間は、息を吸わないことが重要です。動きを妨げ、威力も弱まります。・疲労していることが分かると攻撃を仕掛けられるため、呼吸を相手に悟られないようにする練習も必要です。・連続的な動作を除いて、一回の動作には一呼吸が必要です。 質量 数学的には、最大の運動エネルギー、すなわち力は、最大の体重と速度から得られるため、打撃に体重を乗せることが非常に重要です。・股関節を回す動作で最大体重がかかり、大きな腹筋がねじられることで、身体の運動量が増加します。そのため、股関節は、攻撃や防御を行う部位と同じ方向に回転します。・膝関節のバネ作用を利用することも効果的です。動作の始めに股関節をわずかに上げ、衝撃の瞬間に下げて体重を動作に落とし込みます。 速度 速度は、威力を高めるために最も重要な要素であり、科学的には以下の式で表されます。力=質量×加速度(F=MA または P=MV²)・運動エネルギーの理論によれば、あらゆる物体は下方に向かうにつれて重量も速度も増します。テコンドーはこの原理を応用しており、テコンドーの打撃の大半は、手足が上方から下方に向かいます。・反動力、呼吸のコントロール、バランス、力の集中、筋肉の弛緩は、速度に寄与する要素です。これらすべての要素を、柔軟でリズミカルな動作も合わせてうまく調和させることで、最大の威力を生み出すことができます。 速度と反射作用 ・テコンドーの蹴りや突きは、反射時間よりも速いため、相手が技を出す前に察知する必要があります。そのため、足や腕ではなく、常に相手の目を見ていなければなりません。・技の威力を高めるためには、速度が最も重要です。それは、以下の公式から明らかです。 P=1/2 MV² (P=威力、1/2=定数、M=質量、V=速度)例えば、速度が一定の場合、質量を3倍にすれば威力も3倍になります。しかし、質量が一定の場合、速度が3倍になれば威力は9倍にもなります。そして速度は次のように表すことができます。V=距離× 1/実行時間つまり、距離が長いほど、そして技を実行する時間が短いほど速度が増し、その分威力が何倍にも増大します。 以上、潜在能力を最大限発揮するためのテコンドーの力の理論を、簡単にご紹介しました。テコンドーの技が、いかに科学的に体系立てられた技術であるか、ご理解いただけたかと思います。この力の理論を理解したうえで稽古に臨めば、指導に対する理解も吸収も、格段に高まることでしょう。