国際的な武道であるテコンドーを続けていると、国内だけでなく海外ともつながる機会があります。山上先生もこれまでに、イギリス、チェコ、カザフスタンなど様々な国を訪れ、武者修行や大会への出場を経験してきました。海外の選手が来日した際に迎え入れたこともあり、テコンドーを通じて国境を越えた交流を重ねてきました。そして先日、中央アジアに位置するキルギスという国を訪れる機会がありました。今回は、その旅での経験を語っていただきましたので、ご紹介します。 キルギスを訪れたきっかけ 今から10年前、山上先生は武者修行のため初めてキルギスを訪れました。「そこで、一人の少年と出会ったんです。すぐに打ち解けて仲良くなり、それ以来、家族ぐるみで交流が続いています」と山上先生は語ります。少年のご家族が来日した際には、一緒に食事を楽しむなど、遠く離れた国同士でありながらも心温まる関係を築いてきたそうです。そして今回、その少年から「結婚式にぜひ来てほしい」という招待を受け、山上先生は10年ぶりにキルギスを再訪することになりました。 キルギスでの再会と文化体験 10年前はあどけなさが残る少年だった彼は、立派な好青年に成長していました。「久しぶりに抱き合って再会した瞬間は、本当に感慨深かったですね。彼のご家族や新婦ともお会いでき、直接お祝いを伝えられたことがうれしかったです」と山上先生。結婚式では、日本とは大きく異なる文化に触れることができました。厳かな前段階の儀式から華やかな披露宴まで、その一つひとつがとても貴重な経験で、心に強く残っているといいます。 さらに、現地のテコンドー仲間とも再会を果たし、道場にも足を運ぶことができました。「10年前から『ぜひ行ってみてほしい』と言われていたイシククル湖にも、今回ようやく行けました。湖畔の景色は息をのむ美しさで、そこでランニングをしたのは忘れられない体験です。まさに非日常の中で行う特別なトレーニングでした」と、笑顔で振り返ります。 旅の間には観光地を巡り、家庭料理や伝統料理を味わう機会にも恵まれたそうです。「料理を囲みながら現地の人々と交流する時間は、キルギスの文化の豊かさや人々の温かさを肌で感じられる貴重な瞬間でした」と語ってくれました。 テコンドーがつなぐ世界 「もしテコンドーをしていなければ、キルギスという国を訪れることも、彼やその家族と出会うこともなかったかもしれません。今回の旅は、テコンドーがつないでくれたご縁そのものです」と山上先生は言います。 テコンドーは、技や体力を磨くだけでなく、世界中の仲間とつながる大きな可能性を秘めています。「これからも道場生のみなさんが、テコンドーを通じてかけがえのない出会いや経験を重ねていき、いつか世界に羽ばたく存在に成長してくれることを心から願っています」と締めくくってくれました。 10年前の出会いから紡がれた今回の旅は、まさにテコンドーが持つ“世界をつなぐ力”を体現するものでした。道場に通う一人ひとりが、いつの日か自分だけの物語を世界に広げていく。そんな未来を想像させてくれるエピソードでした。