TKD-SORAのロゴに込められた意味

前回の記事では、創始者・崔泓熙総裁の想いが込められた、ITF(国際テコンドー連盟)のロゴについて解説しました。
ITFのロゴに関する記事はこちら!
押上道場(TKD-SORA)にも、ロゴがあります。一見するとスタイルも表現手法も異なりますが、ITFのロゴとも通ずる哲学があります。さらに、地域に根付く道場として、地域への敬意、そして稽古生一人ひとりの成長への願いも込められています。
このロゴは、押上道場の設立準備時期に、専門のデザイナーにデザインしていただきました。山上先生の想いを丁寧に汲み取りながら、押上道場の「価値観」と「姿勢」を見事に形にし、洗練されたデザインに仕上げてくださいました。
今回は、TKD-SORAのロゴに込められた意味とメッセージをご紹介します。

太極図:陰陽の調和

押上道場のロゴは、調和の取れた円形のフォルムでデザインされています。これは、陰と陽を象徴する「太極図」がベースとなっており、心と身体、「柔」と「剛」といった、相反するものの調和を目指す、テコンドーの根源的な思想が表現されています。太極図は韓国の国旗にも使用されており、テコンドー発祥国への敬意も示しています。また、ITFのロゴにも太極図が描かれており、デザインは異なるものの共通の価値観を表しています。

翼と軌跡:「空(SORA)」の精神

ロゴの中心的なテーマは、道場の名でもある「空(SORA)」。左右に分かれたパーツには、それぞれ「空」を表現する意味が込められています。

  • 青の翼:ロゴの左側を構成する青いグラデーションは、どこまでも空高く飛翔していく「翼」をイメージしています。「テコンドーの稽古を通じて、努力を重ね、自らの翼で空へ羽ばたいてほしい」という願いが込められています。
  • 白の軌跡:右側の白い空間として描かれている部分は、力強く放たれた「蹴りによって生まれる空気の流れ」です。目には見えないエネルギーの軌跡を描くことで、テコンドーの技が持つスピード感と、動きの美しさを可視化しています。
押上の街に宿る「粋・美・賑」

ロゴに使われている3色には、道場がある東京・押上の街への敬意が込められています。江戸の美意識や文化を映し出す色彩を取り入れることで、下町情緒が今も息づく押上を象徴し、「地域とともにある道場」であることを表現しています。

  • 青(粋):無駄のない洗練された心と技。江戸・東京の美意識である「粋」。それは、力任せではない、無駄がなく、洗練された心と技を追い求める道場の姿勢と心意気そのものです。
  • 紫(美):武道が持つ、凛とした立ち姿や、磨き上げられた技の「美しさ」。一つひとつの動作を芸術の域まで高めていこうとする、探求心と心の美しさを表しています。
  • 橘色(賑):仲間と共に汗を流し、活気が生まれるコミュニティの温かな「賑わい」。道場が、多様な人々が集い、エネルギーが生まれる場所であることの象徴です。

ロゴはただのデザインではなく、「どんな道場でありたいか」を表す大切なシンボルです。TKD-SORAのロゴには、韓国への敬意、押上という江戸の心意気が残る地域への敬意、そして一人ひとりの成長への願いが込められています。稽古に励むみなさんにとっても、目にするたびに気持ちを引き締め、励ましてくれる存在となることを願っています。