型の稽古のポイント

型(トゥル)は、組手(マッソギ)と並んでテコンドーの主要な競技の1つです。
全日本選手権大会や国際大会の種目にもなっており、昇級・昇段審査の課題でもあります。
テコンドーの根幹を成すものとして重要視される型について、今回は稽古の際のポイント等をご紹介します。

型(トゥル)とは

攻撃や防御の技などの基本動作で構成された、決められた論理的な一連の流れです。様々な想定の下で、様々な方向からあらゆる攻撃・防御を行い、複数の架空の相手に体系的に対処します。
型の稽古により多くの基本動作を連続してこなすことで、組手の技術を身につけられるほか、柔軟性や筋力を高め、身体の移動や呼吸法を習得し、流れるように滑らかでリズミカルな動きを身につけることができます。
組手は単に対戦相手との優劣を示すものかもしれませんが、型は個人の技術を評価する上で、より重要なバロメーターとなります。

型を行う際の注意点

テコンドーには24の型があります。そのすべてに共通した守るべき事項として、次のものがあります。
1. 正確に同じ位置で始まり、同じ位置で終わること。これは正確さを表します。
2. 姿勢と身体・視線の向きを常に正しく保つこと。
3. 身体の筋肉を適切な瞬間に緊張または弛緩させること。
4. 途切れることなく、リズミカルな動きで行うこと。
5. 型の規定に従って、動きを加速または減速させること。
6. 各型を完全に習得してから次の型を学ぶこと。
7. 各動作の目的を知ること。
8. 目的意識をもって各動作を行うこと。
9. 攻撃技や防御技は、一方の手足に偏らず左右バランスよく使うこと。

動作における各区分の違い

型では、一つ一つの動作の形の正確性も評価対象となります。
以下の各区分の違いを正確・明確にすることが大切です。
1.体幹の角度
 a.オンモム(前身/全身)
 b.パンモム(半身)
 c.ヨンモム(横身)
2.高さ区分
 a.ノプンデ(上段)
 b.カウンデ(中段)
 c.ナジュンデ(下段)
3.縦の線の区分
 a.ミョンチソン(水月線/正中線)
 b.カスムソン(胸の線)
 c.オッケソン(肩の線)

動作の種類

型の動作には、用法・目的に合わせたいくつかの種類があります。これらを実行することにより、各型の特徴的な動きやリズムを表現することが出来ます。
①通常動作
 一動作に一度のサインウェーブ(上下運動)を行います。呼吸はブレスアクセント(呼吸の集中)を用います
②連続動作
 通常動作+通常動作を指定の回数連続的に行います。一動作につき一度のサインウェーブを行いながら連続する全ての動作は一度の呼吸で行い、ブレスアクセントは各動作と連動します
③速い動作
 一連の複数の動作を、素早く行います。動作と動作は連続動作よりも速く行い、動作に連動してブレスアクセントを用います
④自然動作
 主に押したり抑えたりする動作に用いる。呼吸は一動作に一度行い、呼吸にブレスアクセントは入れず自然に吐きます
⑤接続動作
 自然動作+通常動作が接続した動作を行います。通常動作と通常動作をつなぎ、呼吸は一回、ゆっくり吐き続けた後にアクセントを入れる
⑥ゆっくりな動作
 特に動作のバランスと軌道を正確に行うための動作。呼吸にブレスアクセントは入れず動作に合わせて一呼吸でゆっくり吐く

組手と型では共通することもたくさんありますが、型について稽古する際は、今回ご紹介した点にも注意しながら取り組むようにしましょう。
また、型のルールや評価項目を踏まえて今回ご紹介した内容を意識すると、気を付けるべきポイントの理解がさらに深まります。
過去の記事でご紹介していますので、改めて確認してみてください。

テコンドーにおける型競技のルールの記事はこちら!