テコンドーの大会に選手として出場するときの心得

押上道場は日本国際テコンドー協会に加盟しており、稽古生は、年間を通じて様々な大会に出場するチャンスがあります。地区大会や都道府県大会、全日本大会、さらにはアジア大会や世界大会など、大会にも様々な種類がありますが、いずれも日々の稽古の成果を発揮し、自分自身を試す絶好の機会です。
ここでは、大会に選手として出場するための準備のポイントや、心構えをお伝えします。大切な機会に万全の態勢で臨めるよう、理解と実践を心掛けてください。

大会の手続き:

ステップ1:大会情報の確認
まずは、日本国際テコンドー協会の公式サイトや先生を通じて、大会の開催情報を収集します。
気になる大会があれば「大会要項」を確認し、詳細を確認しましょう。
「大会要項」には、以下の重要な情報が記載されています。
・大会の日時、場所
・出場資格(年齢、級・段位)
・競技種目、ルール
・参加費
・申込締切日

ステップ2:所属道場を通じての申し込み
大会への申し込みは、個人で直接行うのではなく、所属する道場の先生が取りまとめて行います。
①出場意思を伝える:
指導員の先生に「〇月の大会に出場したいです」と意思を伝えてください。多くの場合、出場資格と先生の承認があれば、出場することができます。
②道場内の手続き:
大会申込書に記入したり、オンラインフォームに入力したりします。道場内での申込締切は、公式の締切日より早めに設定されていることがほとんどなので注意しましょう。
③参加費の支払い: 指導員の先生の指示に従い、参加費を支払います。

入念な準備:

大会は確かに特別な一日ですが、その一日のために必要なのは、日々の積み重ねです。「試合当日だけ頑張る」ということはできません。
当日に最大限の力を発揮するため、以下を徹底しましょう。
・十分な練習:質、量ともに重要です。道場での稽古で自分の課題を明確にしつつ、個人練習でブラッシュアップを図りましょう。
・ルールの理解:どのような技が有効なのか、高得点に繋がるのか、反則や失点になるのか理解することは、勝敗を分ける鍵となります。確実に理解し、戦術を練る際や、練習効果を高めることに役立てましょう。
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・体調管理:体調管理も選手の大切な責任です。どれだけ努力を重ねても、怪我や体調不良により大会に出場できなくなってしまっては、元も子もありません。練習は無理をしない、不摂生をしない、少しでも体調に違和感を感じたら回復に努める等、自己管理に気を配りましょう。また、大会によっては体重別で行われる競技もあります。減量が必要な場合は、計測前の数日間で慌てないよう、計画的に準備を進めましょう。

※棄権について
どれだけ体調管理に細心の注意を払っても、どうしても、大会出場が叶わない事情が発生してしまうこともあるかもしれません。
万一、大会出場を棄権せざるを得ない場合は、マナーとして必ず即時連絡(先生を通じて大会事務局に)します。
特に、前日、当日の連絡は大会運営に大変な負担となるだけでなく、他の選手にも迷惑がかかります。
これをよく理解し、安易に棄権とならないよう安全、体調、スケジュールの管理には万全を期すようにしましょう。

当日の持ち物:

当日に慌てることのないよう、前日までには準備を整えておきましょう。
・道着
・帯
・防具一式(ヘッドガード、ファウルカップ、マウスピースなど)
・タオル
・飲み物(スポーツドリンクなど)
・軽食(試合間のエネルギー補給用)
・爪切り(試合前に爪を整えるため)
・替えの道着やTシャツ(汗をかいた後の着替え)
・大会資料(事前案内のプリント類)
・保険証

当日の注意点

・会場には時間に余裕をもって到着する
・招集時間を厳守する
・試合前のウォーミングアップは目的意識をもってしっかり行う
・水分補給と休憩をこまめに取る
・体重測定がある場合は、計測時間と内容を事前に確認する(前日計量が行われる場合もあります)

感謝と敬意:

大会は、試合に出る選手だけが全てではありません。様々な立場の人が関わり、協力し合うことで、一つの素晴らしいイベントが成り立っています。
大会に出場できるのは、こうした人々のおかげです。「礼に始まり、礼に終わる」というテコンドーの精神を体現しましょう。
・対戦相手:自分と同じように、対戦相手も日々の厳しい稽古を積み重ねて試合に臨んでいます。互いが全力を尽くすことで、初めて素晴らしい試合が生まれます。勝敗にかかわらず、互いの努力を称え合い、敬意を示しましょう。
・仲間:一緒に練習し、互いに切磋琢磨してきた仲間の支えが、試合での自信につながります。また、仲間の応援は心強い後押しとなります。
・審判:安全で公正な試合進行をしてくれる審判へリスペクトを示しましょう。万が一、判定に納得がいかないことがあったとしても、成長の機会と捉え、冷静に受け止めましょう。
・試合を運営するスタッフ:大会を円滑に進めるために尽力してくれるスタッフのおかげで、選手は競技に集中できます。
・家族:日々の送り迎えや練習への理解、応援といった家族の支えがあってこそ、安心してテコンドーに打ち込むことができます。

フェアプレーの精神:

大会は勝敗を競う場であると同時に、テコンドーという武道の精神を表現する舞台でもあります。
勝ちへのこだわりは大切ですが、そこに至る手段や態度は、それ以上に重要です。
試合では、まず正確なルールを理解し、その範囲の中で全力を尽くすことが基本です。クリーンで力強い技術は、審判にも明確に評価されやすく、高ポイントにつながります。
公正なプレーや、勝ってもおごらず、負けてもふてくされない謙虚な態度は、見ている人の心を動かします。反則行為や尊大な振る舞いは、自分自身の価値を下げるだけでなく、会場全体の雰囲気をも損ないます。
テコンドーの名に恥じない立ち居振る舞いを心掛け、最後まで正々堂々と戦うこと。それが本当の意味での「強さ」であり、選手としての価値につながります。

大会前は、不安や緊張で胸がいっぱいになるものです。
しかし、それは真剣に稽古に取り組んできた証でもあります。大切なのは、その不安を力に変え、「これ以上はできない」と思えるほど準備を重ねること。そこまでやりきれたら、あとは自分を信じて試合に臨むだけです。
試合では、思い通りにいかない場面や相手に押される瞬間もあるでしょう。そんな時こそ、最後まで諦めない強い心が試されます。最後の一秒まで全力を尽くす姿は、勝敗を超えて多くの人の心を打ち、あなた自身の誇りとなります。
結果がどうであれ、その経験は必ず次の成長につながります。
道場で積み重ねてきた努力を胸に、自分を信じて、一歩踏み出してください。あなたの挑戦を、先生や仲間、そして応援してくれる全ての人が見守っています。