テコンドーにおける組手競技のルール

テコンドーの試合に出場する選手や、試合の観戦者は、競技のルールを理解する必要があります。
選手にとっては、試合を公正で安全なものにするために、ルールの遵守が求められます。また、ルールを知ることで試合の進行を理解しやすくなり、ルールに基づいて戦略を立て、効果的なパフォーマンスを展開できるようになります。さらに、テコンドーは単なる競技だけでなく、武道としての側面も重要視されているため、ルールを理解し守ることで、テコンドーの精神や哲学を体得することができます。
観戦者にとっては、ルールが分かることで試合を何倍も楽しむことができます。
ここでは、成年組手(マッソギ)競技の基本的なルールを紹介します。前回紹介した型(トゥル)のルールと合わせて、覚えるようにしましょう。

試合方式

各大会により、トーナメントもしくはリーグ戦によって行われます。

コート

9m✕9m幅で仕切られた正方形のコートで競技が行われます。

ドレスコード

・ITF公認道着と公認帯を着用
・ITF公認防具(グローブ、フットプロテクター)を着用
・成年男子有段の部はマウスピース
・成年有級の部は男女ともに公認フェイスガード
・成年女子有段の部も公認フェイスガード
・男子はファールカップ着用
・有級女子は胴防具着用

競技

2分×2ラウンド(インターバル1分)の試合の中で、ライトコンタクトでの攻防によるポイントの数を競います。
決着がつかなければ延長戦、そこでも引き分けとなれば再延長戦へと進みます。
・延長戦:1分×1ラウンド
・再延長戦:ゴールデンポイントにより決着(時間制限なく、ポイントを先取した選手が勝利)
※各大会のルールにより決勝のみ2分×2ラウンド(インターバル1分)、決勝以外は2分×1ラウンドで行う場合もあります。

判定方法

・4名の副審が各々ポイント採点を行い、2ラウンド合わせたポイントの加点及び減点を集計します。
・2ラウンド終了後、採点結果に基づき、4名の副審が各々勝者と判定した選手側の色(赤または青)の旗をあげます。旗の数が多い選手が勝者となります。
・4名の副審のによる旗判定の結果、旗の数が同数の場合、または3本以上が引き分け判定の場合は引き分け(ピギン)となり、延長戦を行います。同様に4名の副審による判定、旗の数で勝者が決まります。
・延長戦の旗判定による結果が引き分けの場合、再延長戦にてポイントを先取した選手が勝利となります(ゴールデンポイント)。

ターゲット領域

・顔の正面および側面(背中、うなじ、首を除く)
・脇の下から両側の腰まで垂直に引いた線からなる体幹の前部領域(背中を除く)
・肘から指までの腕が身体に触れている場合、それは身体の一部とみなされ、それによって相手はポイントを得ることができます

ポイント

ライトコンタクトでの攻防によるポイントの数を競います。
有効ポイント:有効ポイントは1ポイントから5ポイントまでの点数が設けられています。

1ポイント
・蹴りによる中段への攻撃
・突きによる中段/上段への攻撃

2ポイント
・蹴りによる上段への攻撃
・跳んで蹴りによる中段への攻撃
・跳んで突きによる中段/上段への攻撃

3ポイント
・跳んで蹴りによる上段への攻撃
・跳んで180度回転した蹴りによる中段への攻撃

4ポイント
・跳んで180度回転した蹴りによる上段への攻撃
・跳んで180度回転した蹴りによる上段への攻撃
・跳んで360度回転した蹴りによる中段への攻撃

5ポイント
・跳んで360度回転した蹴りによる上段への攻撃

無効ポイント:有効ポイントとならない
・ガードが正しくされている場合
・攻撃は当たったがバランスを崩して転倒した場合
・スピードのない攻撃、引きのない攻撃、コントロールのされていない攻撃

反則

注意
・両足が完全にコート外に出ること
・足裏以外の部位が地面に触れる(転倒などで手が地面につくなど)
・相手を掴む、持つ、組む
・手や体で相手を押す
・直線的な突き以外の手による攻撃
・3発以上の連続的な突き
・負傷したかのように振る舞うこと
・故意に組手(攻防すること)を避ける
・繰り返し得点したかのように振る舞うこと
・逃げるために故意に背中を向けること

減点
・コントロールされていない攻撃
・相手を侮辱する
・噛む、掻く、爪で引っかく
・主審が試合を止めているときに、倒れた相手または無防備な状態の相手を攻撃する
・頭、肘、膝を使った攻撃
・故意に相手を転ばせる
・故意に場外に出る

体重別カテゴリー

体重別でカテゴリーが分かれています。
成年女子:- 47 kg, - 52 kg, - 57 kg, - 62 kg, - 67 kg, - 72 kg, - 77 kg, + 77 kg
成年男子:- 52 kg, - 58 kg, - 64 kg, - 71 kg, - 78 kg, - 85 kg, - 92 kg, + 92 kg

以上が、組手競技の基本的なルールとなります。
大会への出場を目指す方は、ルールを意識しながら練習に取り組むことで、より高い効果が得られるでしょう。
大会への出場予定がない方も、昇級・昇段審査や演武に必要な技術の習得に通ずる部分もありますので、参考にしてみてください。
また、ルールの理解・遵守だけでなく、対戦相手を尊重することも重要です。選手も観戦する方も、相手への敬意を忘れないようにしてください。