テコンドーのステップワーク

フットワークの基本であるステップは、組手の基礎であり、押上テコンドークラブに入門して最初の頃に教わるテクニックの一つです。
テコンドーの組手では、対象となる部位に攻撃が当たればポイントとなるため、いかに攻撃を当てるか、その攻撃をかわすかが要となり、素早い動きが勝敗を左右する鍵となります。
そのため、ステップは攻撃でも防御でも非常に重要であり、ステップを見るとその選手の実力がわかるほどです。
昇級審査の課題でもある基本のステップは、1番から12番まであります。スムーズに動き回り、蹴りや突き、受けの動作につなげるための基本動作となりますので、まずはこの12ステップをマスターしましょう。

いずれのステップでも、まずはその場で基本の構えをとります。基本の構えとは、片方の足を肩幅より広めに後ろに引き、足首、膝、股関節を柔らかく使い、腰を落とします。手は軽く握り、自然に構えます。
この時、足首、膝、股関節、体幹をしなやかに使って、リズムとバランスをとって自然に構えられるようにしましょう。そして、ステップを使って移動した後も構えが安定するように意識しましょう。柔軟性と全身のバネは、素早く攻撃したり、瞬時に体勢を立て直したりする際に役立ちます。また、バランスを保つことは、技の威力を増大させます。
この基本の構えから、以下の1~12番のステップを行います。まずは正しい動きを身体で覚え、慣れてきたら素早く動けるように意識してみましょう。ただし、焦って動いてはいけません。軸やバランスが崩れる原因となります。

1番「入れ替え:スイッチ」

基本の構えからその場で前後の足を同時に入れ替えます。この時、跳ねずにすり足(地面から足を離さず擦るような足運び)で入れ替えるとともに、足は弧を描かずにまっすぐ動かします。
この際に、腰を上下に動かさないこと、足を最短距離で直線で動かすことがポイントです。

2番「前進:ステップイン」

前の足から動かし、前進します。跳ねずにすり足で前進し、後ろの足をすり足で素早く引き付けます。

3番「後退:ステップバック」

後ろの足から動かして後退します。跳ねずにすり足で後退し、前の足をすり足で素早く引き付けます。

4番「1歩前進:ワンステップイン」

後ろの足を前に蹴り出すように直線的に前に出し前進します。前進すると構えが逆構えになります。

5番「1歩後退:ワンステップバック」

前の足を後ろに蹴り出すように直線的に後ろに下げ後退します。後退すると構えが逆構えになります。

6番「振り返り前進:ターンステップイン」

背中側から振り返り、後足を直線的に前に出し前進します。前進すると構えが逆構えになります。

7番「振り返り後退:ターンステップバック」

6番と逆側から振り返り、前足を直線的に下げ後退します。後退すると構えが逆構えになります。

8番「2歩前進:ツーステップイン」

後の足から前に踏み込み、前の足を超えたところで前の足を前に大きく踏み出し直線的に前進します。跳ねずにすり足で前進します。

9番「2歩後退:ツーステップバック」

前の足から後ろに踏み込み、後ろの足を超えたところで後ろの足を後ろに大きく踏み出し直線的に後退します。跳ねずにすり足で後退します。

10番「交差:クロスステップ」

上半身の向きを変えずにその場で足を交差します。前交差、後交差の両方があり、いずれも交差後に素早く元の構えに戻します。

11番「横移動:サイドステップ」

前の足を斜め後ろ(横)に踏み出し、後の足を斜め前に移動させます。移動すると構えが逆構えになります。

12番「横移動:サイドステップ」

後の足から横に踏み出し、前の足を素早く引き寄せます。

以上が基本となる12のステップです。
ひとつひとつのステップが出来るようになれば、これらを組み合わせることで、さらに多彩な動きができるようになります。
様々なステップを操れるようになると、組手の醍醐味でもある駆け引きも巧みになります。
ステップの習得は組手の上達の近道ですので、確実にものにしましょう。