テコンドーの4つの競技

ITF(国際テコンドー連盟)テコンドーには、「型(トゥル)」「組手(マッソギ)」「スペシャルテクニック(トゥッキ)」「パワーブレイキング(ウィリョク)」という、4つの競技種目があります。
これらは単なる競技の分類ではなく、テコンドーの技術・身体・精神を多角的に育てるための体系そのものです。
この記事では、それぞれの競技の特徴、大会や昇級審査・昇段審査との関係を整理しながら、ITFテコンドーが大切にしている「総合的な強さ」について紹介します。

各競技の特徴

・型(トゥル)の特徴
型(トゥル)は、決められた演武線の上で、決められた技を正確に行う競技で、型の規定、力強さ、呼吸調整、リズム、バランスの優劣を競います。
一人で行う演武ですが、複数の仮想の相手と戦う状況が想定されています。
型は、テコンドーにおけるすべての技の原点です。正しい姿勢や体重移動、無駄のない力の使い方を身につけることで、他の競技の土台となる身体操作が養われます。

・組手(マッソギ)の特徴
組手(マッソギ)は、ルールの中で相手と向き合い、技を使って得点を競う競技です。
定められた攻撃部位と防御部位があり、打撃のスピードやインパクトを伴ったコントロールされた有効な技のみが得点となります。
特に上段蹴りや跳び蹴りは高得点が与えられます。
組手では、技術だけでなく、間合いの管理やタイミング、一瞬の判断力が重要になります。
また、相手を尊重しながら競い合う武道的な精神も強く求められます。

・スペシャルテクニック(トゥッキ)の特徴
スペシャルテクニックは、指定された跳び蹴りによって、高い位置、あるいは遠くに設置された板を割り、その高さや距離を競う競技です。
テコンドーを象徴する跳び蹴り技術と身体能力が、最も分かりやすく表れる種目です。
跳躍力だけでなく、空中でのバランス、体軸の安定、タイミングの正確さが結果を左右します。

・パワーブレイキング(ウィリョク)の特徴
パワーブレイキングは、指定された蹴り技や手技によって、重ねられた板を割り、その枚数を競う競技です。
必要なのは、単純な筋力ではありません。
正確な打点、体重移動のタイミング、そして「必ず割る」という集中力が不可欠です。
技術と精神力が一致したときにのみ成功する、非常に武道的な競技と言えます。

競技大会の舞台

各競技が行われる大会には、様々なものがあります。ここでは主要なものを一例としてご紹介します。

・地域の大会
各地域や各道場が独自に行っている大会があります。
型と組手に加え、スペシャルテクニックやパワーブレイキングが行われる大会もあります。

・全日本ジュニア選手権大会
全日本ジュニア選手権大会は、10歳から17歳の選抜された選手が出場する大会で、毎年開催されます。
型・組手・スペシャルテクニックが実施されます。
将来を担う選手の育成を目的とし、基礎技術に加えて、跳び蹴り技術の習熟度も重視されます。

・全日本選手権大会
予選を勝ち抜いた選手たちが競い合う国内最高峰の大会で、毎年開催されます。
競技としては型と組手が行われ、完成度の高い技術で勝敗が競われます。型・組手いずれも、個人戦だけでなく、団体戦も行われます。
また、勝敗はありませんが、演武としてスペシャルテクニックやパワーブレイキングが披露されることもあります。

・国際大会(世界選手権・アジア選手権など)
世界選手権やアジア大会は、世界のトップ選手が総合力を競い合う舞台であり、2年に1回、交互に開催されます。
国際大会では、型・組手・スペシャルテクニック・パワーブレイキングの4種目すべてが行われます。他にも団体戦やセルフディフェンスの競技も行われます。

・昇級審査・昇段審査
昇級審査・昇段審査は、大会とは異なり、テコンドーの技術と精神を正しく身につけているかテコンドーの総合的な技術を発揮する場です。
各級・各段位に応じて、基本技術、型、約束組手や組手、スペシャルテクニックやパワーブレイキングが実施されます。


ITFテコンドーの4つの競技は、それぞれが異なる側面を持ちながら、互いに補完し合っています。
型で技を磨き、組手で実戦性を高め、スペシャルテクニックで身体能力を引き出し、パワーブレイキングで集中力と決断力を養う。
この積み重ねが、テコンドーの「総合的な強さ」を形づくります。
国内の道場では、基本的に4つすべての競技について指導しており、押上道場も同様です。
いずれも満遍なく稽古・習得し、「総合的な強さ」を身に付けましょう